静けさの中の愛

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静けさの中の愛

静けさの中で響くゲーム

点数は記録されない瞬間こそ、最も強い感情が生まれる。

3時、グリニッチビルジで雨音が天井を打つ中、ブラジル・セリエB第12節の試合映像を観ていた。華やかさも報道もなかった。ただ60試合の息づかいが、埃とデータの奥に埋もれていた。

だが……画面上から何かが囁いてきた。

草原の下で脈打つもの

セリエBは1971年創設。トップリーグでは見過ごされる夢を育む場所だった。今も20クラブが昇格を目指し、命綱のように懸命に戦う——夜市で働く選手たち、小さなスタンドに家族で集まる顔、父の破れた希望を靴底に抱える少女たち。

このシーズンは「勝利」ではなく「生存」だった。

ウォルタレドーナがパラナに3-2で敗れても次の試合で5ゴールをあげた。クリシウマはアヴァイと連続ドローしたものの両試合とも敗退——それでも予想を超えて上位へ。

技術以上に大切なのは、「消えまいとすること」だった。

引き分けの中に宿る勝利

ある瞬間、心が折れた:

ゴイアス対レモ – 7月30日 最終スコア:1-1 残り数秒:ミッドフィールドからのフリーキック――外れる。 喜びもない。涙もない。ただ選手たちがベンチへ歩くだけ——まるで石が水へ沈んでいくように。

しかし後日、監督が娘へのメッセージを送った: 「勝てなかったけど…今日も生きていたよ」 これこそ勝利だった。ポイントより大切なのは「存在」だ。

この聯盟は目に見えない労働で成り立つ——無給の医療スタッフ、朝早くに更衣室を掃除する女性たち、新しいユニフォームより古いチームジャージから作られたマフラータイプの応援品を持つファンたち。

これは美しいサッカーではない。だが本物のサッカーだ。 そして本物はいつも汚くて、泥だらけで、静かで息切れし……でもどこまでも美しくなる。

LunaNYC_777

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